ムーヴ思考 ~マインドセット~

マインドセットとは、その人が持っている基本的な物事に対する考え方です。

どのような基準で物事を判断したり、行動したりするのかを決めている考え方です。マインドセットは多くの要因によって形成されています。

その人が受けてきた教育、これまでの経験、時代背景、生まれ育った文化、価値観や信念によってマインドセットは作られていきます。

不確実性が高まる現代社会では一つのスキルを習得すれば安泰という世界ではありません。

常に新しいスキルを身につけることが求められ、業界などに限らず活躍し続けるには成長し続けることが必要です。 では、成長し続ける人はどのような共通点を持っているのか。

成長し続ける人が持っている考え方・姿勢として注目を受けている「成長型マインドセット(グロース・マインドセット)」という言葉をご存知でしょうか? 成長型マインドセット(グロース・マインドセット)について詳しく知ることで、自分だけではなく、周りの仲間(同僚、クラスメート、チームメート)や家族・子どもの成長の可能性をさらに高めることが可能になります。

 

人の成長を大きく左右する二つのマインドセット:グロースマインドセットとフィクストマインドセット

学校の数学テストで赤点をとった時にあなたならどのような反応をしますか。 「やっぱり自分には数学の才能がないのかな」

 

「まだ出来ていないな。勉強が足りないな」 同じ素質を持っていても、その素質を最大限に発揮できるタイプとできないタイプでは物事の捉え方・考え方、いわゆる『マインドセット』に大きな差があります。キャロル・ドゥエック氏はこの観点に着目し、長年の研究から二つのマインドセット「固定型マインドセット(Fixed mindset)」と「成長型マインドセット(Growth Mindset)」があることを観察しました。

 

「能力は努力や方法によって変えられる」と考えるグロースマインドセット。

難しい課題や状況に直面した際の反応によって、その人がどのようなマインドセットを持っているのか見分けることができます。

例えば、最初の数学テストの結果に対して「才能がない」と決めつけたり、自分に失格の烙印を押してしまう人は固定型マインドセットの持ち主です。固定型マインドセットは人の能力は生まれながら決まっているため変えられないと考えており、解決できない状況を「失敗」として捉えてしまいます。

一方で、「まだ出来ていない」と反応した人は、今はできないが努力を重ねることや工夫することによって自分もいつかは出来ると信じている成長型マインドセットの持ち主です。成長型マインドセットの持ち主は人の能力は成長させることが可能だと考えており、課題や状況が思い通りにいかなくてもそこから何かを学べる・得られることに喜びを感じることができます。

成長型と固定型によって物事の捉え方が大きく異なります。

 

「失敗を恐れる」:成長の機会から逃げてしまうフィクスト(固定型)マインドセット

固定型マインドセットは能力は変えられないと信じています。そのため、失敗することは才能がないと同意義と捉え、自分が失敗することを強く恐れてしまいます。また、自分が失敗した際にも自分が間違った点と向き合うよりも、 「テスト中に、となりの◯◯くんがくしゃみをしていたから集中できなかった」

「◯◯くんの方が僕より点数が悪い」

と周りのせいにしてしまったり、自分より成果を出していない人を見つけて安心を求めてしまいます。このマインドセットが強すぎると失敗する可能性を恐れ、難しい課題や状況を避けて、自ら成長の機会を失ってしまう傾向に陥ります。

「成長を求める」:挑戦を楽しみながら進めるグロース(成長型)マインドセット

一方で、能力は変えられると信じている成長型マインドセットの持ち主は、問題に対して真剣に向き合い、なぜ間違ってしまったのか、何が足りなかった等と思考回路が働きます。

「今はまだ」できていないという考えが根底にあるため、「次のテストまではもっと◯◯の部分を集中的に勉強しよう」「数学が得意な◯◯さんにアドバイスを求めてみよう」と次のステージを実現するためのプロセスを考え、目標達成へと進んでいきます。 固定型マインドセットとは異なり、成長型マインドセットは自分にとって難しい問題や課題から逃げることなく、むしろ自らの成長の可能性を信じて、挑戦を楽しみながら能力を更に開発していく傾向があります。

 

日頃から困難や思い通りの結果がでない状況に対してあなたはどのような反応をしていますか。

全ての人が成長型、固定型のどちらかにキレイに別れるわけではなく、一人一人の中でも分野等によって反応が異なることもあります。

例えば、スポーツの分野においては成長型の傾向があるが芸術や音楽に関しては固定型マインドセットになってしまうなど。まずは自分がどのようなマインドセットの傾向を持っているのかを気付くことがマインドセットを育む上で大事な一歩でとなります。

日常の中で困難な状況に直面した際に自分がどのような反応をしがちかを観察してみてください。あなたやあなたの周りの人たちの成長を促すヒントがそこにはあるかも知れません。